カテゴリ「★セルフメディケーション~専門家による健康科学情報」の119件の記事

2019年1月25日 (金)

【ノロウィルスの予防】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

前項までは、インフルエンザを解説しました。
今回は、ウイルスによる感染症で冬に流行することが多い、ノロウイルス感染症(ノロウイルス)について解説します。

‐‐‐■ノロウイルスとは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ノロウイルスとは、ウイルス性胃腸炎や食中毒を引き起こすウイルスの1つです。
ノロウイルスは感染力が強く、集団発生に繋がりやすい特徴があります。また、食材などから感染する一次感染だけでなく、感染者の嘔吐物などから感染する二次感染が起こりやすいことも特徴とされています。

‐‐‐■主な症状‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ノロウイルスに感染した際の主な症状は、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、のどの痛み、倦怠感などが多岐にわたります。
インフルエンザのような高熱はなく、発熱は軽い場合が多いとされています。
全体的に症状は軽いですが、ノロウイルスに効く抗ウイルス薬や予防するためのワクチンなどはないため、症状を緩和する治療で対応する以外にありません。
嘔吐や下痢などが続く場合は、脱水症状になる可能性があるため、十分な水分補給をしましょう。

‐‐‐■感染経路‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ノロウイルスに感染する経路は複数あります。
主な感染経路には、①経口感染(糞口感染)、②接触感染、③飛沫感染、④空気感染があります。

①経口感染(糞口感染)
ウイルスに汚染されたり、加熱が十分にされていない食材を食べた場合(牡蠣など)や、感染者が触った食品を食べて感染します。
ノロウイルスの感染経路の中では、経口感染(糞口感染)が最も多いとされています。

201901251

②接触感染
感染者の吐物や便などに含まれるウイルスが手指に付き、その手で鼻や眼の粘膜を触ることで感染します。
人から直接的な感染だけでなく、物に付着するウイルスからの感染も接触感染にあたります。

③飛沫感染
感染者の吐物や便などを処理する際などに、飛び散ったウイルスを吸い込むことで感染します。

④空気(塵埃)感染
感染者の吐物や便などが乾燥し、ほこりなどに付着して、空気中を漂います。これを吸うことでも感染します。

201901252

‐‐‐■予防方法‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
毎年のようにノロウイルスは流行し、多くの感染者を出しています。では、感染を避けるためには、何に気をつければ良いのでしょうか?

感染予防の方法をいくつか紹介するので、早速実践してみましょう。
・感染者と接触をしないようにする
手洗いうがいを心がける
・食材は加熱処理をする
・塩素系消毒剤やアルコール(アルコールは効果が弱い)を使って、しっかりと消毒を行う
・嘔吐や便などを処理した際に使用した手袋やマスクは捨てる

画像出典https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/91/913483d2073822f52adf34d6e9d4e074_w.jpg
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/9e/9ea666678dee07d52546d080bc79e11c_w.jpg

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2019年1月18日 (金)

【インフルエンザの予防】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

前回は、インフルエンザ基本的な情報についてまとめました。
今回は、インフルエンザの予防法を中心に解説していきます。

‐‐‐■インフルエンザワクチン‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
インフルエンザワクチンは、有効な予防方法です。
人はインフルエンザなどの感染症に罹患すると、病気を引き起こした病原体(ウイルス)への抗体(病原体に対抗する物質)が体内でつくられます。
これは、再度同じ病原体が体内に入ってきても大丈夫なように、その病原体に対して攻撃する仕組みであり、「免疫」と呼ばれています。
この免疫の仕組みを利用してつくられたのがワクチンで、感染する前にワクチンを接種することで、ウイルスに対する免疫をつくり、感染を予防します。
また、ワクチンの接種によって、重症化を避けることができるとされています。
特に高齢者や小児など、罹患した場合に重症になりやすい人たちは、ワクチン接種による予防が大切です。
しかしながら、ワクチンで対応していない型の感染症を予防することはできず、完全な予防はできません。

201901181

‐‐‐■インフルエンザを予防するために‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
インフルエンザの感染のほとんどは、飛沫感染と接触感染のいずれかによるものです。
飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみなどで発生した飛沫を吸い込んで感染することを言います。
一方、接触感染は、感染者が触った後に同じ物を触り、その際にウイルスが付着した手などで、目や鼻、口に触れて感染することを言います。
2つの感染経路を断つことが、インフルエンザの予防につながります。
そのため、まず第一に、帰宅時の手洗いうがいやアルコール消毒のできるグッズを持ち歩くなど、ウイルスを付着させたままにしないことが大切です。
また、飛沫感染を防ぐために、口や鼻をティッシュなどで覆うように、マスクを着用することも有効です。
なお、忘れがちですが、感染の可能性がある場合、周りの人にうつさないためにマスクをしたり、欠勤する等、病原体を拡げないように配慮しましょう。

201901182

‐‐‐■対処法‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
インフルエンザに感染したときは、どうすればよいでしょうか?
基本的な原則として、病院を受診するようにしましょう。

病院で処方される薬は主に、「インフルエンザウイルスに作用するもの(抗インフルエンザ薬など)」と「症状を緩和させるもの」の2種類があります。
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスの増殖を抑制し、感染の早期に処方するほど、体内にいるウイルスの量を抑えることができます。
一方、高熱などの代表的なインフルエンザの症状に効く解熱剤などが服薬されることもあります。
しかし、アスピリンが含まれる解熱剤は、小児に使用すると、ライ症候群(急性脳症などを引き起こす病気)になる可能性があります。
インフルエンザの治療に薬は必要な場合が多いですが、自分で薬を選ぶことは大変危険です。
症状の軽い段階で専門医に受診し、適切な治療を行いましょう。

画像出典https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/61/61598fe3f80c9ca4ca3de524e082e9e3_w.jpg
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/64/64ef8abf4e3b1a9be0aa1937beedf22d_w.jpg

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2019年1月13日 (日)

【インフルエンザとは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

冬にかかりやすい病気の1つに「インフルエンザ」があります。
インフルエンザの発生は、秋から春までと長い期間続きます。
特に、この時期はインフルエンザが流行する時期で感染する可能性は高いですので、注意していきましょう。

‐‐‐■インフルエンザとは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによる急性感染症です。ウイルスが、主にのどや気管支などで感染し、増殖することで発症します。
症状としては、発熱(38℃以上の高熱)や全身の倦怠感、関節痛などがあります。
また、鼻水やのどの痛み、咳のような、風邪(かぜ症候群)と似たものもあります。
風邪よりも重症になりやすく、乳幼児や高齢者は死のリスクもあるとともに、感染力も高いため非常に注意が必要です。

20190114

‐‐‐■インフルエンザと風邪の違い‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
インフルエンザの症状には、風邪と似ているものもありますが、大きく異なるものもあります。
例えば、その代表的な症状の1つに発熱があります。
風邪は高くても37℃程度ですが、インフルエンザは38℃以上の高熱がでます。
また、インフルエンザは身体の倦怠感や関節痛、筋肉痛などが強くみられ、早い段階で現れるといった特徴もあります。

なお、次のような特徴を持つ方はインフルエンザに感染すると重症になる可能性があるため、特に注意が必要です。
・高齢者
・小児
・基礎疾患を持つ人(喘息や糖尿病など)  など

上記に当てはまらない人も、インフルエンザと疑われる場合、早めに医療機関に受診しましょう。

‐‐‐■毎年、流行するのはなぜ?‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
なぜ例年、インフルエンザの感染者が出てしまうのでしょうか。
インフルエンザには、A型、B型、C型の3つがあります。インフルエンザのA型には、100種類以上のタイプが存在します。
毎年、流行するのは、インフルエンザウイルスのタイプが多いことに加えて、このウイルスがわずかに変化をしているからです。
新型インフルエンザという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、毎年変化しているために、微妙に違う新しいウイルスができているのです。
予防接種のワクチンは、その年に流行すると予測されるインフルエンザウイルス決めた上で作られています。
そのため、ワクチンを打ったからといって、必ず効果があるというわけではないのです。

201901142

画像出典https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/c1/c122b7449a2fec836519aa4652f15fa1_w.jpg
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/c7/c74be4f391d60fc0f8f8e2f0c81c007a_w.jpg

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2019年1月 4日 (金)

【冬にかかりやすい病気-ウイルスと細菌の違い】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

新年も明け、冬も本格化してきました。
多くの人が、「冬は風邪を引きやすい」というイメージをお持ちだと思います。
では、風邪はウイルスによって症状が現れるのでしょうか。それとも、細菌でしょうか。
ウイルスと細菌の違いを理解し、予防に役立てていきましょう。

201901041

‐‐‐■ウイルスとは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ウイルスは、特定の細胞に依存し増殖する微生物のことです。
普段生活する中で、耳にするウイルスの名前は数少ないですが、インフルエンザウイルスやノロウイルスは思い浮かぶでしょう。
他の代表的なウイルスとしては、
・風疹ウイルス(風疹の原因ウイルス)
・ロタウイルス(乳幼児の急性胃腸炎を引き起こすウイルス)
・HIV(AIDSの原因ウイルス)
などがあります。
現在までに発見されているウイルス以外にも、膨大な数が存在しており、ウイルスが引き起こす病気の種類も全ては特定できていません。
いわゆる風邪(かぜ症候群)は、複数のウイルスが鼻やのどに感染することで起こることがほとんどです。

‐‐‐■細菌とは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
細菌は、細胞を持った1つの微生物です。
細菌は様々な場所に存在しており、例えば、私たちが食べる納豆には、納豆菌がいます。
納豆菌のように、人に対して有用な働きをする細菌もいますが、病気や重い症状を引き起こす細菌もあります。
主な細菌は、
・結核菌(結核の原因)
・大腸菌(下痢などを発症)
・サルモネラ菌(代表的な食中毒の原因)
などがあります。
数千種類ある細菌の中で人と関わりのあるものはごくわずかで、人に感染したり悪さをする細菌は数パーセントと言われています。

‐‐‐■ウイルスと細菌の違い‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ウイルスも細菌も、人に有害な働きをすることがあります。
では、ウイルスと細菌の違いはどこにあるのでしょうか。
今回は、①大きさと増殖方法、②対策方法の2つに分けて解説します。

①大きさと増殖方法
ウイルスと細菌はどちらも微生物ですが、ウイルスは細菌の数十分~数千分の一と非常に小さいサイズです。
また、ウイルスは自力で増殖するための仕組みを持っていません。
そのため、細胞に入り込み、その中で複製をつくり増殖していきます。
一方、細菌は細胞の構造を有しているため、栄養があれば細胞分裂をして自力で増えていくことができます。

②対策方法
細菌には抗生物質が効きますが、ウイルスにはほとんど効果がありません。
そのため、インフルエンザや風疹などのようなウイルスが原因となる病気には、ワクチンなどで対策をとることが一般的です。
また、風邪は多数のウイルスによる感染であるため、その原因を明らかにしたうえで、対策を考える必要があります。

‐‐‐■まとめ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
感染の原因がウイルスによるものか、または細菌によるものかによって、専門医とともに対策方法を検討しましょう
しかし、対策方法として最も重要なことは、ウイルスや細菌に感染しないように、予防に努めることです。

201901042

画像出典
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/bf/bf0604ad57c34f4be045c514d1772e3d_w.jpg
https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/41/41e640b696ddbe3ba6590600a2f650a6_w.jpg

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年12月28日 (金)

【寝正月を防ぎましょう!】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

年末年始は仕事も休みとなり、通勤や仕事での移動がなくなるなど活動量が低下する方も多いのではないでしょうか?
そのため、外出をせず、家で休憩したり、寝たりする「寝正月」となってしまう経験はありませんか?
寝正月で身体をほとんど動かさなければ、体力が低下し、1年の良いスタートを切ることができなくなります。

‐‐‐■寝正月は筋肉量減少につながります‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
正月休みはほとんどの人が1~2週間程度あると思います。
この期間で、身体を動かさなければ体重増加や筋肉量の減少などの可能性が考えられます。
コペンハーゲン大学の研究では、2週間ほとんど身体を動かさない場合、若い男性で、筋肉量は485g、65歳以上の男性で250g減ることや下肢筋力が25~30%程度も低下すると報告されています(1)。
元々筋肉量が多い人の方が、低下する量も多いといわれているため、若い人も注意しなければなりません。
さらに、減ってしまった筋肉量はトレーニングをしても元の筋肉量に戻すまでに3倍以上の時間が必要という報告もされています(2)。
このように一度落ちてしまった筋肉をもとに戻すには時間がかかるため、仕事をしている時と同程度は身体を動かす必要があります。

201812281

‐‐‐■外に出るきっかけをつくりましょう‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
寝正月を防ぐためには、外に出ることが有効です。年末年始ならではの活動もたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてください。

●大掃除
年末は大掃除が代表的な活動です。
窓を拭いたり重いものを動かしたりと高強度な活動も含まれます。
ケガをしたり、筋肉痛になったりすると活動量が落ちますので、ストレッチを十分に行い、休憩も取るなど無理のない範囲で実施しましょう。

●初詣に歩いて行く
多くの神社には階段や坂があり、運動量を増やすことができます。
いつもより遠い大きな神社へ歩いて行くなども良いでしょう。

201812282

●初売り
デパートやアウトレットなど広い場所での買い物は、歩く量も増えます。
欲しいものを見ながら歩くことは苦にならないので、気づいたら、いつもよりも歩く量が増えるかもしれません。

●箱根駅伝
いつもはテレビで見ている箱根駅伝も、今年は生で見てみませんか?
選手が走る区間も東京~箱根間と広いので、お近くの場所まで行って応援してみましょう!

‐‐‐■最後に‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
まずは、年末年始の過ごし方について少し見直してみましょう。
毎年、寝正月だという方は、今年は1つでも多く外出する機会を作りましょう!

参考文献
1)https://www.medicaljournals.se/jrm/content/abstract/10.2340/16501977-1961
2)https://www.sciencedaily.com/releases/2015/06/150626095520.htm

画像出典:https://www.photo-ac.com/

Photo

<執筆者紹介>
岡本尚己[健康運動指導士]
中高年者から高齢者を中心に運動教室やカウンセリングを通して、健康づくりの指導や支援を実施中。学会発表などの研究活動も行い、健康科学に基づいた指導を追究中。

詳細なプロフィールはこちら

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年12月21日 (金)

【年末年始の体重増加を防ぐ】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

年末年始はは忘年会や新年会など、お酒を飲む量や外食の機会が増えたり、家で寝ていたり、車移動などで長時間座っていたりと活動量が減る人も多いと思います。
このような食べ過ぎや何日も身体を動かす機会が減れば、体重が増えたり、筋肉量が落ちたりする可能性があります。
そこで今回は、年末年始の体重増加を防ぐ工夫について解説します。
毎年この時期に体重が増える人はぜひ実践してみてください。

‐‐‐■毎日、体重を測定する‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
毎日の体重測定は、前回の測定からの食事量と身体活動量の結果を表しています。
体重は、一般的に、食事量(エネルギー摂取量)が身体活動量(エネルギー消費量)よりも多いと増えます。
そのため、前回よりも体重が増加しているということは前回よりも食事量が多い(食べ過ぎ)または身体活動量が少ないということになります。
体重は1日の中でも食事や排せつなどにより変化するため、 「毎日同じ時間帯」で測定をすることが重要です。
「起床後、トイレを済ませた状態」は、食事や排せつなどの影響が取り除かれた状態ですので、最も良いタイミングと言えます。

201812211

‐‐‐■歩数を確認する‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
歩数は、身体活動量を把握する最もお手軽な方法で、スマートフォンのアプリなどでも確認ができます。
歩数の少ない状態が続くと、肥満や生活習慣病となるリスクが高くなると言われています。
まずは、①自分の普段の歩数がどのくらいなのか把握するようにしましょう。
その上で、②年末年始の休暇中の歩数を確認し、その差分を計算してみましょう。
例えば、普段の平均歩数10,000歩の人が休みの日4,000歩程度しか歩かないということは、10分=1,000歩で考えると約1時間歩いていないことになります。
1時間歩かないということは、体重や歩くスピードによっても変化しますが、60kgの人であれば、約180~210kcal、80kgの人であれば、240~280kcal分のエネルギー消費量が普段よりも少ない状態です。
これは、ご飯を茶碗1杯分相当にもなりますので、何日も続けば体重が増える原因になります。
特に、普段、工事現場などで仕事中の活動量が多い方などは、年末年始で仕事がなくなると活動量が極端に減る可能性がありますので要注意です。

‐‐‐■毎日記録を書きましょう‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
体重や歩数を測ったデータは、ただ見るのではなく、カレンダーや手帳などに毎日記録しておくと良いでしょう。
「食べ過ぎた!」や「全く動かなかった!」と思った日の翌日の体重は、増えていると思いますが、どれくらい増えているかを知ることが大切です。
それを踏まえ、次の日は少し食事量を減らしたり、ウォーキングを実施したりするなど、対策を考えてみましょう。
さらに、体重や歩数だけでなく食べた物を書くと、体重が増えた時の原因を見つけることもできますので、より具体的な目標が立てやすくなると思います
以上のように、この年末年始は体重が増えないような工夫をしてみましょう!

201812212画像出典:https://www.photo-ac.com/

Photo

<執筆者紹介>
岡本尚己[健康運動指導士]
中高年者から高齢者を中心に運動教室やカウンセリングを通して、健康づくりの指導や支援を実施中。学会発表などの研究活動も行い、健康科学に基づいた指導を追究中。

詳細なプロフィールはこちら

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年12月15日 (土)

【運動中の冷え】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

前回は、寒い時期の悩みの1つである、「冷え性(冷え症)」についてお話しました。
冷えを感じやすい冬に、外で運動を実施すると、末端が冷えすぎて、強い痛みを感じた経験はないでしょうか。
今回は、運動中に起こる冷え性に注目して解説していきます。

201812141

‐‐‐■運動開始時は、末端の血管は収縮します‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
人間の身体は、運動を開始すると、使っている筋肉への血流量が増えます。
一方、運動に直接的に関係のない末端や消化器への血流量は低下します。
この仕組みは、“血流の再分配”と呼ばれています。
前回の解説の通り、寒い環境では末端部の血管は収縮し、中心部の体温低下を防いでいます。
それに加えて、運動実施による血流の再分配によって、末端の血流は著しく減少します。
そのため、冬の運動開始直後は、指先や足先、耳たぶなどへの血流不足による極度の冷えが生じて、痛み感じることがあります。

‐‐‐■運動中の冷え性対策‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
血流の再分配によって、末端部の血流量が低下し、痛みが生じることは、ごく自然の身体の反応です。
それゆえ、冬場は身体の体幹部を温めるコートやインナーウエアを活用し、身体を中心から温めることが大切です。
また、身体の中心だけでなく、手袋や帽子、耳当てなどで末端部の冷えを軽減させることは冷え性の対策に有効です。
末端部の保温の重要性は低く見られがちですが、長時間、寒い環境にいるときには非常に有効な方法です。
加えて、外部から身体を温める対策も有効で、カイロを中心部に貼ったり、運動中に手に持ったりするなども効果的です。

201812142

‐‐‐■運動継続による効果‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
冬場の運動開始直後は、末端に強い冷えを感じます。
しかしながら、運動を数十分継続していくことで、末端の血管が開き、冷えは改善していきます。
これは、運動による血流の増加によって、一酸化窒素(NO)と呼ばれる血管拡張物質が産生されることによるものです。
それ以外にも、体温の上昇なども冷えが改善する要因になります。
運動開始した直後は寒くても、継続していくことによって、今度は身体がポカポカし温まってくるものです。
冬の寒い時期も、身体を温める効果を求めて、運動を実施していきましょう。

画像出典:https://www.photo-ac.com/

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年12月 7日 (金)

【冷え性(冷え症)とは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

冬になり気温が低下して、冷え性で悩んでいる人が多いのではないでしょうか?
手足の冷えがひどい、または身体の冷えによる頭痛や肩こりなどの随伴症状を有する人は、冷え性かもしれません。
今回は、寒い時期に起こりやすい悩みの1つである「冷え性」について解説していきます。

‐‐‐■冷え性の定義‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
冷え性とは、一般的「寒冷時に四肢の末端を中心とする身体の一部に冷えを自覚し、随伴症状や生活に苦痛を感じている状態」のことです。
また、暖かい場所においても、身体の抹消体温の回復が遅く、冷えている状態も冷え性の1つと考えられています。
研究では、身体の中心部と末端部の体温差によって判定する考え方もあり、温度差が6℃近くあると、冷え性を自覚しやすいとされています。
冷え性は病気でないため、定義は明確になされておらず、客観的な指標がないのが現状です。

‐‐‐■冷え性の要因‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
冷え性の要因には、大きく分けて2つあります。
①環境的要因
多くの人が思う冷え性の要因である、外気温の低下や冷房の使用は、環境的要因に含まれます。
他にも、生活リズムの乱れやストレス、過労も冷え性の要因となります。
環境の変化に対応することは、冷え性の一番の対策になります。
②生体的要因
冷え性の要因は、身体の中にもあり、自律神経の失調や痩せ型、遺伝などがあります。
また、更年期や妊娠初期などに内分泌の機能が変化することも関係します。これは、女性特有のものであり、冷え性が男性よりも女性に多くみられる理由の1つです。
冷え性というと気温の変化を注意することに目を向けがちですが、生活習慣や体質でも冷え性になる可能性があることも覚えておきましょう。

20181207

‐‐‐■冷え性のメカニズム‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
人の体温は身体の中心部と末端で異なります。
体温は、身体の中心部では約37℃、末端では約28℃であり、中心部に近づくほど体温は高くなり、安定します。中心部の体温は、気温などの環境の変化による影響を受けにくく、身体を維持する調整機能によって保たれています。
暖かい時には末梢または皮膚表面の血管は拡張され、血流量を増やして、放熱します。
一方、寒い時には中心部の体温低下を防ぐためにそれらの血管を収縮させて熱の放散を抑えます。
この時に、手足などの末端に送られる血流量が減り、”冷え”が生じます。
これが一般的な冷え性のメカニズムとされています。

‐‐‐■最後に‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
従来、冷え性は女性の更年期障害の症状の1つであるとされてきましたが、最近では更年期以前の女性にも増加しているとされ、多くの女性がつらい冷えに悩まされています。
しかしながら、冷え性は男性でも起こります。また、加齢が大きな要因となっていることも明らかです。
冷え性を甘く見ずにしっかりと予防・対策を行い、快適な生活を送りましょう。

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年11月23日 (金)

【変形性膝関節症とは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

骨や関節、筋肉、神経などの運動器が、身体活動量の減少などによって障害を起こし、移動能力が低下して要支援・要介護のリスクが高まっている状態がロコモティブシンドローム(ロコモ)であると、前回、解説しました。
それでは、ロコモに至る要因である“運動器の障害”にはどのようなものがあるのでしょうか。
多くの人が悩む要因の1つとして「変形性膝関節症」があります。

‐‐‐■変形性膝関節症の症状‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
変形性膝関節症とは、加齢などを要因として、膝関節の軟骨が減少し、炎症や骨の変形による痛みまたは腫れが生じ、膝関節の機能が低下する病気です。
国内に変形性膝関節症の人は、1000万人近くいると推定されており、運動器の国民病とされています。
変形性膝関節症の有病率は40歳以上の男性で約40%、女性で約60%という報告もなされており、男性よりも女性において有病率が高いことも特徴です。
また、有病率は年齢とともに高くなり、加齢も一つの大きな要因となっています。

変形性膝関節症になると、膝に痛みを伴い、歩く事が困難になり車いすの生活になる可能性があるだけでなく、膝関節を人工の関節に置換する手術を受ける可能性もあります。
歩く事が困難になれば、仕事や趣味などができなくなるだけでなく、家族やヘルパーなど他人からの支援も必要となり、生活の質は著しく低下してしまいます。

‐‐‐■変形性膝関節症のメカニズム‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
それでは、なぜ、歩けないほどの膝痛になってしまうのでしょうか。
変形性膝関節症は、軟骨がすり減ったことによる炎症や変形などによって痛みが現れます。
軟骨がすり減る要因は複数ありますが、主なものは以下の4つです(下図)。

20181123

①加齢
膝関節は、日常生活でも多く使う関節のため、年を重ねた分だけ減少してしまいます。
また、軟骨の弾力性や筋肉量の減少など、加齢による様々な影響を受けます。
②肥満
膝には、体重の数倍の負荷がかかります。
そのため、体重の増加によって、軟骨への負担は大きくなります。
体重コントロールは膝にとっても、良い効果があるのです。
③身体活動量の低下・使い過ぎ
膝関節を支える周りの筋肉量の減少によって、関節をしっかりと支えることができなくなり、軟骨のすり減りにつながります。
また、運動が健康に良いからといって、膝に過度な負荷がかかるよう運動もご法度です。
④姿勢・遺伝
正座や和式のトイレは膝に大きな負担がかかります。
また、O脚やX脚の人は膝の内側や外側に負担がかかるので注意が必要です。
なお、軟骨の再生能力などには遺伝(体質)の影響があることも最近、わかってきています。

‐‐‐■まとめ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
日常生活を送る中で、身体を支える足腰が健康であることはとても大切です。
その中でも膝は、体重の負担がかかりやすい関節です。関節を強くすることは難しいですが、関節周りの筋肉を鍛えたり、太り過ぎないように注意したりするなど、生活習慣に気をつけることで、膝痛は予防・改善できます。
変形性膝関節症も高血圧や糖尿病と同じように、生活習慣病の1つと考え、今からできる対策を行いましょう。

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------

2018年11月16日 (金)

【ロコモティブシンドロームとは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

今月1週目の記事では、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態のフレイルを予防することが、健康な生活を送る上で非常に重要であることを解説しました。
また、前週は身体的なフレイルの1つであるサルコペニアを解説しましたが、もうひとつ「ロコモティブシンドローム」という重要な概念があります。

‐‐‐■ロコモの概念‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ロコモティブシンドローム(略称:ロコモ、和名:運動器症候群)とは、運動器障害のために移動機能の低下をきたした状態をいいます。(ロコモチャレンジ!推進協議会)運動器とは、身体の骨や関節、筋肉、神経のことを指しています。
この運動器が相互に連携することで、私たちの生活に必要な“立つ”や“歩く” などの「移動機能」が満足に行われ、自由に活動することができているのです。
しかし、日常生活における身体活動量の低下や極度な痩せや肥満などによって、運動器に障害(骨粗鬆症、変形性膝関節症など)が起こります。
運動器の障害により、移動機能の低下をきたし、要支援・要介護のリスクが高くなっている状態がロコモなのです。
実際に、ロコモに該当しているかどうかを判定する方法として、ロコモ度テストがあります。
このテストでは、該当なし、注意段階を指す「ロコモ度1」、警告段階を指す「ロコモ度2」のいずれに該当するかを判定します。

‐‐‐■ロコモ度テストによるロコモの判定方法‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ロコモ度テストは3つのテストで構成されています。
①立ち上がりテスト(下肢筋力の測定)
②2ステップテスト(歩幅の測定)
③ロコモ25(身体の痛みや日常生活に関する25問の質問)
上記の全てのテストを行い、ロコモに該当するかどうかを判定します。
例えば、立ち上がりテストでは、40㎝、30㎝、20㎝、10㎝の高さのそれぞれの椅子から片脚または両脚で立ち上がり、下肢の筋力が衰えていないかを確認するテストです。
40㎝の高さを片脚で立ち上がることができないと「ロコモ度1」に、また、20㎝の高さを両脚で立てなければ「ロコモ度2」に該当します。
まずは、一般的な椅子の高さである40㎝を、片脚で立ち上がることができるか確認するとよいでしょう。

20181116

2ステップテスト、ロコモ25に関しては、下記のURLにアクセスすると、詳しく解説してありますので、ご参照ください。
https://locomo-joa.jp/check/

‐‐‐■ロコチェックから始めましょう‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
ロコモ度テストを実施するとなると、機材や安全面などを考慮しなければなりません。
そこで、ロコモ度テストよりも簡便にロコモの危険性を確認する方法として、「ロコチェック」があります。
ロコチェックでは、以下の7つの質問に回答し、1つでも当てはまると、ロコモに該当している可能性が高いです。

<ロコチェック>.
①片脚立ちで靴下がはけない
②家のなかでつまずいたりすべったりする
③階段を上がるのに手すりが必要である
④家のやや重い仕事が困難である
⑤2㎏程度の買い物をして持ち帰るのが困難である※1リットルの牛乳パック2個程度
⑥15分くらい続けて歩くことができない
⑦横断歩道を青信号で渡りきれない

あなたの周りの人がロコモになっていないかどうか、上記の質問項目からもチェックしてみてましょう。
早めの対処が、要支援・要介護状態のリスクを減らすことに繋がります。

Photo

<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

------------------------------------------
現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
-----------------------------------------