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2018年11月23日 (金)

【変形性膝関節症とは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

骨や関節、筋肉、神経などの運動器が、身体活動量の減少などによって障害を起こし、移動能力が低下して要支援・要介護のリスクが高まっている状態がロコモティブシンドローム(ロコモ)であると、前回、解説しました。
それでは、ロコモに至る要因である“運動器の障害”にはどのようなものがあるのでしょうか。
多くの人が悩む要因の1つとして「変形性膝関節症」があります。

‐‐‐■変形性膝関節症の症状‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
変形性膝関節症とは、加齢などを要因として、膝関節の軟骨が減少し、炎症や骨の変形による痛みまたは腫れが生じ、膝関節の機能が低下する病気です。
国内に変形性膝関節症の人は、1000万人近くいると推定されており、運動器の国民病とされています。
変形性膝関節症の有病率は40歳以上の男性で約40%、女性で約60%という報告もなされており、男性よりも女性において有病率が高いことも特徴です。
また、有病率は年齢とともに高くなり、加齢も一つの大きな要因となっています。

変形性膝関節症になると、膝に痛みを伴い、歩く事が困難になり車いすの生活になる可能性があるだけでなく、膝関節を人工の関節に置換する手術を受ける可能性もあります。
歩く事が困難になれば、仕事や趣味などができなくなるだけでなく、家族やヘルパーなど他人からの支援も必要となり、生活の質は著しく低下してしまいます。

‐‐‐■変形性膝関節症のメカニズム‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
それでは、なぜ、歩けないほどの膝痛になってしまうのでしょうか。
変形性膝関節症は、軟骨がすり減ったことによる炎症や変形などによって痛みが現れます。
軟骨がすり減る要因は複数ありますが、主なものは以下の4つです(下図)。

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①加齢
膝関節は、日常生活でも多く使う関節のため、年を重ねた分だけ減少してしまいます。
また、軟骨の弾力性や筋肉量の減少など、加齢による様々な影響を受けます。
②肥満
膝には、体重の数倍の負荷がかかります。
そのため、体重の増加によって、軟骨への負担は大きくなります。
体重コントロールは膝にとっても、良い効果があるのです。
③身体活動量の低下・使い過ぎ
膝関節を支える周りの筋肉量の減少によって、関節をしっかりと支えることができなくなり、軟骨のすり減りにつながります。
また、運動が健康に良いからといって、膝に過度な負荷がかかるよう運動もご法度です。
④姿勢・遺伝
正座や和式のトイレは膝に大きな負担がかかります。
また、O脚やX脚の人は膝の内側や外側に負担がかかるので注意が必要です。
なお、軟骨の再生能力などには遺伝(体質)の影響があることも最近、わかってきています。

‐‐‐■まとめ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
日常生活を送る中で、身体を支える足腰が健康であることはとても大切です。
その中でも膝は、体重の負担がかかりやすい関節です。関節を強くすることは難しいですが、関節周りの筋肉を鍛えたり、太り過ぎないように注意したりするなど、生活習慣に気をつけることで、膝痛は予防・改善できます。
変形性膝関節症も高血圧や糖尿病と同じように、生活習慣病の1つと考え、今からできる対策を行いましょう。

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<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。

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現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
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