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2018年10月 5日 (金)

【体力とは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報

今月のテーマは、トレーニング。
トレーニングについて解説する前に、今週は“体力とは”というテーマで解説します。
どの体力を向上させるのか、ということはトレーニングをする際にとても大切なポイントになってきます。
そのため、まずは“体力”について理解しましょう。

‐‐‐■体力とは‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
そもそも“体力”とは何なのでしょうか?
体が丈夫(風邪を引かないなど)なこと?腕っぷし(腕力など)が強いこと?長距離走などの粘り強さがあること?
“体力とは?”と聞かれると、明確な答えを意外と出せないものです。
みなさんが想像した体力も含まれていると思いますが、体力という言葉の指す意味は思っているよりも幅広いのです。

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‐‐‐■体力の身体的要素と精神的要素‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
図は、猪飼先生(1966年)により定義された体力で、わが国では広く引用されています。
体力は、まず“身体的要素”と“精神的要素”の2つに分けられます。
体力の身体的要素については、次項でまとめますので、ここでは精神的要素の体力について解説します。
体力の精神的要素は、行動体力と防衛体力に二分され、行動体力とは“意志、判断、意欲”を指し、防衛体力とは“ストレスに対する抵抗力”を指しています。

‐‐‐■身体的要素の行動体力と防衛体力‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
身体的要素の体力も行動体力と防衛体力に二分されます。
その中の防衛体力は、構造的な役割を表す“器官、組織の構造”と機能的な役割を表す“温度調節、免疫、適応”に分類されます。
次に、行動体力は、“形態”と“機能”に分けられ、形態では“体格、姿勢”、機能では“筋力、敏捷性・スピード、平衡性・協調性、持久性、柔軟性”に分けられます。

身体的要素の中の行動体力が、一般的に私たちが想像する体力で、“体力”という全体から見てみると、実はその一部でしかないことが分かります。
また、小学校や中学校で実施した“新体力テスト”では、主に行動体力の機能的特徴を測定しています。
筋力は握力、敏捷性は反復横跳び、持久性はシャトルラン、柔軟性は長座体前屈です。その他には、立ち幅跳びで足のパワーなども測定しています。
形態的な特徴(腕や足が太いなど)も体力の一つと考えられています。

‐‐‐■まとめ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
体力とは何なのか?
筋力や持久力だけではなく、精神的な要素(ストレスへの抵抗性)や体格(形態的な特徴)なども体力の一つです。
このように、身体的要素に加えて、精神的要素も体力として考えられています。
最後に、トレーニングをする際に、どの体力を向上させるかによってトレーニングの目的や内容、方法が変わるため、体力という言葉の意味を抑えておくことは重要です。

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<執筆者紹介>
中村智洋[博士(スポーツ健康科学)]
高校生、大学生年代の自転車競技の指導を行い、エビデンスに基づいたトレーニングを展開。現場での指導とともに、自転車競技のパフォーマンス向上に関する研究活動も実施。

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