【運動中の冷え】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報
前回は、寒い時期の悩みの1つである、「冷え性(冷え症)」についてお話しました。
冷えを感じやすい冬に、外で運動を実施すると、末端が冷えすぎて、強い痛みを感じた経験はないでしょうか。
今回は、運動中に起こる冷え性に注目して解説していきます。
‐‐‐■運動開始時は、末端の血管は収縮します‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
人間の身体は、運動を開始すると、使っている筋肉への血流量が増えます。
一方、運動に直接的に関係のない末端や消化器への血流量は低下します。
この仕組みは、“血流の再分配”と呼ばれています。
前回の解説の通り、寒い環境では末端部の血管は収縮し、中心部の体温低下を防いでいます。
それに加えて、運動実施による血流の再分配によって、末端の血流は著しく減少します。
そのため、冬の運動開始直後は、指先や足先、耳たぶなどへの血流不足による極度の冷えが生じて、痛み感じることがあります。
‐‐‐■運動中の冷え性対策‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
血流の再分配によって、末端部の血流量が低下し、痛みが生じることは、ごく自然の身体の反応です。
それゆえ、冬場は身体の体幹部を温めるコートやインナーウエアを活用し、身体を中心から温めることが大切です。
また、身体の中心だけでなく、手袋や帽子、耳当てなどで末端部の冷えを軽減させることは冷え性の対策に有効です。
末端部の保温の重要性は低く見られがちですが、長時間、寒い環境にいるときには非常に有効な方法です。
加えて、外部から身体を温める対策も有効で、カイロを中心部に貼ったり、運動中に手に持ったりするなども効果的です。
‐‐‐■運動継続による効果‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
冬場の運動開始直後は、末端に強い冷えを感じます。
しかしながら、運動を数十分継続していくことで、末端の血管が開き、冷えは改善していきます。
これは、運動による血流の増加によって、一酸化窒素(NO)と呼ばれる血管拡張物質が産生されることによるものです。
それ以外にも、体温の上昇なども冷えが改善する要因になります。
運動開始した直後は寒くても、継続していくことによって、今度は身体がポカポカし温まってくるものです。
冬の寒い時期も、身体を温める効果を求めて、運動を実施していきましょう。
画像出典:https://www.photo-ac.com/
<執筆者紹介>
宇野真里子[健康運動指導士]
東海大学大学院体育学研究科 修士課程在学中
「健康づくり支援事業」を中心に活動。
健康運動指導士の資格を取得し、ストレッチを中心とした高齢者の運動指導を実施。大学院では研究活動を勉強し、質の高い支援を現場に提供できるように奮闘中。
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現在レスタでは「スパでセルフメディケーション」というコンセプトのもと、よりいきいきと元気に過ごすための「ご自身による健康管理」を応援しています。
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