【サルコペニアとは?】セルフメディケーション~専門家による健康科学情報
前週の記事で、フレイルとは“加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態”ということを解説しました。
身体的なフレイルの1つに、日本人の多くが有症しているとされる「サルコペニア」があります。
本稿では、サルコペニアについて、解説していきます。
‐‐‐■サルコペニアの語源・定義‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
サルコペニアは、ギリシャ語で“肉”を意味する「サルコ(sarx)」と、“失う”を意味する「ペニア(penia)」を合わせた造語です。
サルコペニアは和名で、加齢性筋肉減弱症と訳され、 「加齢や老化に伴う筋力及び筋肉量の減少」と定義されています。
読者の中にはご経験のある方もいらっしゃるかと思いますが、「最近、筋肉が減ってきたな」や「筋力が落ちてきたな」さらには、「歩く速度が遅くなったな」と感じることはありませんか?
これは、もしかしたら、サルコペニアの始まりかもしれません。
‐‐‐■サルコペニアの判定方法‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
サルコペニアの判定方法は、現在、統一されたものはありません。
しかし、サルコペニアの判定基準は、欧州の研究グループ(EWGSOP)の提唱したものがよく用いられています(図1)。
このEWGSOPのサルコペニアの判定方法では、65歳以上の人のみを対象としています。
さらに、「歩行速度が低下し、筋肉量が低下した者」、もしくは「歩行速度は正常であっても、筋力及び筋肉量の低下を認める者」をサルコペニアと判定しています。
筋肉量の測定は、DEXA法という専門的な測定によるため、実際に一般の方が、判定のためだけに測定するのは非常に難しいのが現状です。
‐‐‐■サルコペニアの要因‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
サルコペニアの要因は、現在までに完全な解明はされていません。
加齢は、大きな要因の1つとなることは間違いありませんが、加齢以外にも、運動不足や低栄養、糖尿病などが要因にもなっています。
様々な要因で起こるサルコペニアを予防する基礎は、やっぱり毎日の適度な運動や栄養(食事)になります。
‐‐‐■最後に‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
加齢や老化に伴う筋力及び筋肉量の減少を抑える、すなわちサルコペニアの予防は、健康づくりにおいて必要不可欠です。
そのためには、食事のみならず、運動の実施が不可欠で、実際には運動のもたらす効果が非常に大きいと考えられています。
運動の実施方法は、専門家への相談から始めると良いでしょう。
あなたの筋力や筋肉量の低下を放置せずに、早めに対処することが、長く自立した生活を送るための重要なポイントになります。
<執筆者紹介>
位高駿夫[博士(スポーツ健康科学)]
株式会社ハイクラス 代表取締役
大学院在学中に会社設立し、博士号の学位取得とともに会社を本格始動。
「健康づくり支援事業」「スポーツ活動支援事業」「情報発信・研究事業」を柱に、事業を展開。
企業や行政において、中高年者や高齢者に対して運動を中心とした健康づくり指導を講義や実技を通して実施。また、プログラム作りなどから助言し、効果の出る仕組みから検討している。
東海大学や法政大学でも非常勤講師として、教鞭をとりながら、研究活動も実施中。
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